技術の進化と現場のギャップを埋めるFDE チーム体制が肝に
吉田:セキュリティからは離れますが、もう一つトピックスとして注目しているのがデザインです。AIがいくら賢いといっても、現場での活用が自然に進むとは限りません。そのため、UI/UXは非常に重視しています。
暗黙知の形式知化にも当社のデザイナーチームに入ってもらい、UI/UXのガイドラインを作っています。「こういうAIエージェントならこういうUI/UXが使える」などと議論しているのです。ここに加えて、フィジカルAI時代のUI/UXも気になりますね。ロボットエクスペリエンスにも取り組まなければなりません。
森:わかりやすくいえば、掃除ロボットが掃除しやすいように、段差がないコースを作るような。
吉田:そうです。日本の工場は狭くて、機械よりも人に優しい作りになっているんです。そのため、フィジカルAIを実装するとしてもヒューマノイドがいいといわれています。それでも工場のレイアウトを変える必要はあるため、その設計を当社内でも検討しています。
森:進んでいる取り組みは多くあると思いますが、特に2026年1番の注力ポイントはどこでしょうか。
吉田:今年は、技術の進化が速すぎる一方で現場がついてこられていない実情がフィーチャーされるのではないでしょうか。AIエージェントの精度は非常に高い。フィジカルAIも現実味を帯びてきた。セキュリティもAIが自律的に対応してしまう。そんな中で、現場だけではなく私自身もついていけていないと感じます。
その間を埋めるのがFDEだと思いますが、本当にその役割を果たせるのか。デザインやセキュリティなど各分野の専門家を組み合わせながら、実際に現場で機能して社会課題が解決できるようにしたいのです。
森:単にFDEというラベルを貼るだけでは終わらない。
吉田:そうですね。フィジカルAIやセキュリティなどの複雑なテーマになればなるほど、FDEは一人では成り立ちません。チームを組まなければ、本質的な課題解決にはならないでしょう。
森:FDEは一人では成り立たないという話は、「なるほど」と納得しました。「人は一人では生きていけない。だから人は支え合って生きていく」という考え方は、哲学の分野では「単独行為不可能性」という概念ですが、東洋的なもので、とりわけ日本において大事にされるアプローチだといわれることもあります。この考え方が、これからの時代の大きな強みになるように思います。
吉田:たしかに。キーワードはエコシステムかもしれませんね。
