月7,000時間のVOC分析がゼロに/全社CX改善基盤を構築 大手の先進事例
ここまで見てきたように、コンタクトセンターにAIを実装するといっても、経営にインパクトを与えるには全社的な変革が欠かせない。ただ、全社を巻き込んだ取り組みは、一筋縄ではいかないのが現実だ。コンタクトセンターはコストセンターとみなされていることも多く、全社的にCX改善サイクルを回す重要性がなかなか伝わらないケースもある。こうした壁の乗り越え方を、財部氏は「具体的なアウトプットを見せるしかない」と話す。
VOCは、部門や目的によって活用機会が非常に多い。それだけ大きなチャンスがあるということだ。ところが多くの企業は、どの部門がどの目的に対して、どのようにVOCを活用できるのか、そのアウトプットを想像できていないのだ。
「経営層向けなら、商品・サービスごとの投資判断に活かせるダッシュボード。リスク・コンプライアンス部門向けなら、重大クレームの早期検知の仕組み。このような“使える”アウトプットを、具体的な形で提示することが最初の一歩です」
これらは、実際に大量のデータとAIを掛け合わせ、試行錯誤して初めて見えてくるものだろう。そこでフライルは、NDAなど情報管理に配慮したうえでデータをインポートし、具体的にどのようなアウトプットが作成可能かという視点で企業に伴走する。実際、このアプローチによって、急速に大企業へと普及しているという。
たとえば、クレジットカード事業などを展開するA社のケース。機能での差別化が難しい金融商品は、体験価値の差がそのまま「選ばれるかどうか」に直結する。しかし同社では、顧客の声が社内に点在し、共通のデータをもとに部門を越えて議論することが難しかった。
現在は月15万件の対話ログをAIで自動分類し、問い合わせの背景や要因を可視化。どこから優先的に改善すべきかをデータで判断して関係部署へつなげるほか、苦情やカスタマーハラスメントの予兆検知・未然防止も進めている。まさに、経営と現場が“使える”アウトプットを実装した形だ。同規模の分析を人手で行おうとすると、単純計算で月7,000時間以上かかる。現実には不可能だった全量分析が、ほぼゼロの工数で実現している。
また、EC・通販サービスを手がけるB社では、月1万件にのぼる全通話の応対品質評価とオペレーター育成に、Flyleを活用している。
同社はもともと全社でCXを重視し、顧客応対の最前線ともいえるコンタクトセンターも、全社CXの一翼と位置付けてきた。一方で、オペレーターの応対品質を人が評価していたため、リソースの制限からフィードバックは月に数回にとどまり、1万件のうちごく一部の応対しか聞くことができていなかった。現在は、Flyleを通じて「共感表明」「丁寧さ」「傾聴姿勢」といった定性的な応対スキルも客観的にスコアリングできるようになっている。
一部の通話だけを抜き取るサンプリングチェックには、いくつかの課題がある。話し方は評価できても、応対内容の適切さまでは評価しきれない、評価者による主観・属人性が大きい、サンプリング件数が少なく品質の全体像を把握できない、といったものだ。
「話し方であれば、電話を10件も聞けば、話すペースやフィラーの有無、声色といった個人の癖は見抜けます。しかし、話している内容そのものは1件ごとに異なるため、全通話を聞かなければ的確なフィードバックがしづらいのです」

Flyleであれば、すべての応対データをAIで分析可能だ。エビデンスに基づいて改善点を指摘できるうえ、NGワードなどの要指導応対の見逃し防止や、リスクの早期検知にも活かせる。それと同時に、褒めるべき応対の特定、つまりポジティブなフィードバックとしても活用が期待できる。
「自分の通話を1、2件だけ聞かれてフィードバックをされると、落ち込みますよね。全件を見たうえで、AIの評価スコアとともに良い点と改善点を具体的に伝えられれば、納得感が高まります」
B社がAIに全通話の解析を任せるのは、省人化のためではない。AIが定型的な分析を担うことで、人は顧客の背景を汲み取り心に寄り添う対応に専念できる。人ならではの「共感」を最大化する、CXへの投資なのだ。
このように、まだ日本企業の一部とはいえ、先進的なユースケースが生まれている。今、個別最適から全体最適へと視点を移せるかどうかで、5年後に大きな差が開いているかもしれない。
「AIで業務を自動化するだけでは、企業の本質的な競争力にはなりません。当社は経営目線で中長期的な視野を持ち、全社を巻き込んだCXサイクルを回せる国内最先端の事例を、今後も生み出していきます」
CX変革のためのAIコンタクトセンター「Flyle(フライル)」
VOC分析や応対品質評価・育成、アフターコールワーク削減など即効性のある課題解決から、AIオペレーターによる応対自動化までを一気通貫で支援し、コンタクトセンター・CX部門を全社のCXを変える戦略的な起点へと進化させます。本記事で興味を持たれた方は、Flyle公式サイトからお問い合わせください。

