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CxOトーク

“JTC”のほうがAI化は進む──コンタクトセンター大改革 現場の知恵とAIの掛け合わせ方

【対談】Gen-AX 砂金信一郎氏×博報堂DYホールディングス 森正弥氏~前編~

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実は属人化していない? AIの改善サイクルを内製化するフロー

森:AIを導入する上でデータ整備の課題はよく聞く話ですよね。特にコンタクトセンターでは、特定のオペレーターのスキルが高くデータ化しにくい場合もあります。支援をする中でAI化の最適解はすでに見つかっているのでしょうか。

砂金:もちろんノウハウが属人化するケースもありますが、コールセンターは多種多様な方々が働きに来る場所でもあります。新人であればそこまでノウハウを持っていない。そのため、AIがまず目指すべきは、新人より上手い対応ができるレベルです。

 そう考えると、現場のすべての方々に暗黙知が散らばっているわけではないため、想像しているよりハードルは高くありません。その上で、例外処理をするスーパーバイザーや新人教育をするリーダーがどのような対応をしているのか、ピンポイントでノウハウを抽出していけばいいのです。

森:狙いを定めて集中的に暗黙知をデータ化していくとDXがより進む、ということですね。

砂金:そのとおりです。また、ありがたいことにAIが賢くなっているため、既存マニュアルの矛盾点などもAIで洗い出しやすくなっています。つまり、粗い粒度でもデータが存在さえしていれば、AIが誤解なく理解できるようにまとめる方法があるのです。

森:もう少し暗黙知について深掘りさせてください。暗黙知は元々、ハンガリーの科学哲学者であるマイケル・ポランニー氏が提唱した概念。それを日本でさらに発展させたのが野中郁次郎氏です。

 野中先生のフレームワーク「SECIモデル」は、暗黙知を組織の知識にするうえでよく知られているフレームワークですよね。Gen-AXではAIを導入し、生まれたアイデアがプロンプトに反映されることを通して、自然と暗黙知を組織知にしていく試みを行っている。つまり、AIによってSECIモデルの実現にチャレンジされているということではないでしょうか。

株式会社博報堂DYホールディングス CAIO 森正弥氏
株式会社博報堂DYホールディングス CAIO 森正弥氏

砂金:そうですね。しかし、まだ人間が介在する必要があると思います。物事の抽象度を上げるような作業は、AIにはまだ少し難しい。だから当社の支援でもコンサルタントが入ってその部分をサポートしています。これはこの現場でしか使えない知識なのか、あるいは共通化して発展させたほうがいいのか。こうした判断において、人間側の知識労働がまだ残っています。導入作業も改善作業もすべてAIで自動化するのではなく、まだ各ポイントで人間が介在したほうが効率的です。

森:今はGen-AXのような支援側がその役割を担っていますが、将来的には各社が内製化をしていかなければなりませんよね。

砂金:業務改善を含むオペレーションが、クライアント内で自律的に回る状態を作っていく必要はあります。それを実現するために手順書が必要なのです。

 今よりも業務が複雑化すると、人間向けに自然言語で書かれた文書とは別でAI向けの手順書が求められます。そもそも、AIにとっては手順書が日本語である必要はありません。「この手順でこの業務IDナンバーを処理し、例外発生時にはこちらに飛ぶ」などと、AIにわかりやすく最適化された手順書が、AIモデルに最終的に提供されるプロンプトとなります。

 今後、我々はそのような手順書を業務知識として蓄積していかなければなりません。たとえば、本人確認業務の手順や「キャンペーン品は返品不可」といった例外処理の基準を作っていく。それはコールセンターの汎用的な手順書として溜まっていきますが、それぞれをAIに分かりやすく、かつソフトウェアでいうコンパイルのように翻訳してあげなければなりません。当社がまさに今チャレンジしている領域です。

森:それができると、AIがさらに判断しやすくなりますね。

砂金:加えて、たとえば「AIの分岐処理が上手くいかなかった」という事象が発生した際、手順書のどこを直せばいいのか発見できるため、自律的に改善することも可能です。AIが提案した改善案を人間がどうするか判断する。そこで改善プロセスが回って全体の最適化が進んでいく。現場の人の判断や知恵をどうAI間に介在させてループさせるかが重要です。

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AIコンタクトセンターは「脱文脈」のリスクも 対応策は……

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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AIdiver(エーアイダイバー)
https://aidiver.jp/article/detail/474 2026/05/25 08:00

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