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AI×コンタクトセンター最前線 AIが塗り替える、顧客対応の常識

コストセンターから「経営の相棒」へ──カインズがAIで挑むコンタクトセンター改革舞台裏

カインズ 中村康人氏インタビュー

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問い合わせ2倍、人員そのまま。数字が語る改革の現在地

──改革とAI活用の成果は、数字にどう表れていますか。

中村:メールと電話の問い合わせは、4年前の2倍近くになっています。それをAIでメールのドラフトを書かせたり、細々とした効率化を積み重ねることで、同じ組織、人数で従前の1.5倍の案件を処理しています

 応答率は若干下げてしまっているところもあるんですが、なんとか耐えきれている状態です。

──経営層に提案してから3年ほど経ちます。経営からの反応や期待に変化はありますか。

中村:コンタクトセンターという部署に対する期待は、どんどん高まっていると感じます。事例をどんどん出せという、言語化されていない要求もありますし、役割も増えてきました。

 その象徴が、10年来「やりたい」と言われ続けてきた、店舗にかかってくる電話を一ヵ所に集約していく取り組みに、やっと着手できたことです。

──店舗電話の集約は、なぜこれまで実現できなかったのでしょうか。

中村:集約していくほうが人件費が高いので、ROIが合いませんでした。それがAIで後処理を省略できるようになり、コミュニケーションツールも発達したことで、それなりのコストで受けられそうだと見えてきた。すでに一部の店舗では始めています。

 小売業はお店が最も大事ですから、店舗の業務を楽にして顧客対応に集中する。これを成功させることの社内的なインパクトは非常に大きいと思っています。

──電話の無人化を進める企業も多い中、カインズさんは人の対応を残す方針なのですね。

中村:フリーダイヤルに寄せて店舗から折り返しにするとか、全部チャットボットに流して電話番号を消してしまうとか、やろうと思えばできました。でも、あえてやりませんでした。

 カインズが1番大事にしているのはカインドネスですし、私のポリシーとしても顧客体験は絶対に落としたくない。お客様とちゃんとコミュニケーションを取りながら解決に導きたい。それを守りながら両立できる時代がやってきた、ということだと思います。

「見える化はいらない。提案してほしい」VOCエージェントが経営を変える

──今後のゴールをどう描いていますか。

中村:一言で言うと、質の高いVOCをいかに集めて、使いやすい状態で渡すか。それが今求められている役割で、達成できる状態を作ることが今のマイルストーンです。

 全ての通話は裏側で文字起こしされ、意味としての要約と声としての要約の2つが残っている。これを全店分残せたら財産になります。AIを使えば膨大な量のデータを処理して、経営の判断に直結させる仕組みが作れる。それができれば、コンタクトセンターの立ち位置は会社の中心に寄っていくはずです

──具体的にはどのような仕組みを考えていますか。

中村:VOCエージェントのようなものですね。裏側に溜まったデータをAIが勝手に処理して、翌朝にはある程度の示唆が提示されている状態にできないかと考えています。

 経営層に「どういうVOCが欲しいですか」と聞くと、「見える状態にされても、見に行かなきゃいけないから変わらない。提案してきてほしい」と言われるんです。BIツールで見える化しても、見る内容は大体決まっている。ならばAIのエージェントを通して意義ある情報を精査し、経営に資する提案をしてもらえばいい。技術的にはできそうなので、やってみて作っていこうと思っています。

──最後に、AI活用を進めたい読者へのアドバイスをお願いします。

中村:新しいものに感度高く、使い倒し続けてほしいというのがまず1つ。もう1つは、直属の上司を自分の側に引き込むことです。

 上司が理解者、仲間になれば、次はそのひとつ上、その次はまたひとつ上と、どんどん巻き込んでいく。地道ですが、それが最終的には会社全体の決断につながると思います。

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この記事の著者

押久保 剛(AIdiver編集部)(オシクボ タケシ)

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年にスタートの「MarkeZine」立ち上げに参画。2011年4月~2019年3月「MarkeZine」編集長、2019年9月~2023年3月「EnterpriseZine」編集長を務め、2023年4...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/603 2026/07/15 09:00

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