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米国事例:コンタクトセンターへのAI実装 日本企業がPoCから抜け出すために学ぶべき姿勢

「Customer Contact Week」現地レポート

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 2026年6月に米ラスベガスで開催された、世界最大級のコンタクトセンター向けカンファレンス「Customer Contact Week (CCW)2026」。テックタッチのAI Central事業責任者 中出昌哉氏が初めて現地を訪れた。本稿では、同氏がCCW2026で見た市場の変化とともに、日本企業が持ち帰るべき示唆を3つに絞って整理する。

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目覚ましいボイスAIの進化 しかし、顧客のニーズと企業実装のズレも

 現地では、もはや「AIを導入するか」という議論は行われておらず、「AIをどう事業成長につなげるか」が主題となっていた。展示や講演でも、フォーカスされていたのは問い合わせ数そのものの削減ではない。顧客理解の深化、ボイスAIの実装、AIエージェントの運用設計など、より経営に近いトピックスだ。

 CCW2026で見えた変化が、大きく3つある。第一に、AIが「導入検討の対象」から「どう現場に組み込み、成果につなげるかを競う前提技術」へと変わったこと。自律型AIエージェントを実際の顧客対応に組み込む事例が主役となった。議論の焦点も「AIにどこまでの裁量を持たせるか」だった。

 第二に、評価指標も大きく変わった。これまでコンタクトセンター領域では、問い合わせの自動化率、いわゆるデフレクション率が成功指標として重視されがちだった。しかし、それだけでは不十分という認識が明確となったのだ。

 CCW2026では、顧客の課題を確実に解決し、その体験が売上やロイヤルティにどうつながるかが重要であると整理された。効率化は依然として不可欠だが、それだけでは経営課題の解決にはならないというメッセージが、会場全体の共通認識だった。

 第三に、ボイスAIへの関心がはっきりと強まっていた。キーノートで紹介されたデータによると、問い合わせ全体で音声チャネルを選ぶ顧客は58%に達し、セルフサービスの中でも「声」を求める割合は37%と、チャット系を上回っていることがわかった。

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 一方で、実際に顧客が自己解決に至ったチャネルの内訳では、Webポータルが37%を占めた。それに対して、ボイスボットは24%にとどまる。

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 つまり、顧客が求める体験と、企業が提供できているサービスの間には、まだ大きなギャップがあるということだ。日本市場でも、ボイス AIを単なる補助的チャネルではなく、主要な顧客接点として再設計する必要がある。

 先進企業では、ボイスAIはFAQを読み上げるだけの存在ではなく、顧客の意図を理解し、実際に業務を前に進める実務レイヤーに移行し始めている。たとえばユナイテッド航空では、音声とモバイルを組み合わせたハイブリッド型AIアシスタント「Live Assist」を、あえて「フライトの乱れ(欠航・遅延)」という難易度の高い領域から導入したという。

 現在、欠航や遅延などのフライトの乱れに対応するLive Assistのユーザーの割合は全体の3分の1以上に達し、人手を介さず顧客の課題を解決できた割合は約40%に達している。さらに、待ち時間が30~90分改善し、顧客満足度(CSAT)も業界平均を上回った。

 コンタクトセンターにおけるAIの実装は、FAQから始められがちだといえる。それに対して同社の場合は、顧客が最も困り現場負荷も大きい業務から組み込む発想が成果に直結した事例だ。

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 同じことが、Lenovoの事例にもいえる。Lenovoでは、20ヵ国で対話型AI音声エージェントを本番運用へ。約6万5,000件の一次対応をAIに置き換えた結果、電話での問い合わせ件数は約40%削減した。成功の鍵は、単なる技術の選定ではなく「業務理解」と「ローカライズ」だ。AIの導入自体より、各国・各業務の文脈に合わせて運用に組み込めるかが、成果を左右する。

 こうした高性能なボイスAIが、なぜ今ようやく現実味を持ち始めたのか。その技術的背景も頻繁に語られていた。象徴的な例がKrispだ。元々はオンライン通話の雑音をリアルタイムに除去するノイズキャンセル技術で知られたが、今では文字起こしやアクセント変換までを備え、コンタクトセンター向けのボイスAIへと発展している。

 同社は、この領域で優れた企業やソリューションを称える「CCW Excellence Awards」で、画期的なテクノロジーを表彰する「Disruptive Technology of the Year」を受賞した。音声認識、翻訳、音声生成といった複数の技術が同時に実用域へ達したことで、自然に会話できるボイスAIがようやく現実のものになったのだ。

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浮かび上がったAI活用の二極化 VoCで違いが明確に

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この記事の著者

テックタッチ株式会社 取締役 CPO/CFO・AI Central事業責任者 中出昌哉(ナカデ マサヤ)

東京大学経済学部、MITマサチューセッツ工科大学MBA修了。野村證券、カーライル・グループを経てテックタッチに参画。プロダクト戦略と財務を統括しながら、顧客の声をAIで分析し事業改善につなげるサービス「AI Central」事業を率いる。一般社団法人日本CPO協会理事。著書に『やりきる意思決定』(か...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/661 2026/08/26 08:00

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