各国で異なるAIとの向き合い方 日立グループの戦略とは
森:「世界トップのフィジカルAIの使い手」を目指すとされています。各国がフィジカルAIにフォーカスし始めていますが、日立グループではどうですか。
ヨーロッパはこれまでさまざまな規制を作ってきましたし、そもそもクラフトマンシップのようなものがある。そうした背景から、慎重なアプローチをとってきました。一方で中国は、ヒューマノイドが大きな注目を浴びています。そのうえ開発者もテスターも多いため、モノを大量に作れる点が強み。物量でヒューマノイドという新しい領域を切り拓こうとする勢いを感じるんです。
これらの例と比べると、日本の場合は人手不足という社会課題が前提としてあり、だからこそフィジカルAIが求められている。やりようがあるし、やればやるほど社会が良くなる道筋が見えています。

吉田:そうですね。当社は世界のさまざまな地域に拠点がありますが、どこを見ても、まず「HMAX」のコンセプトにもとづいて取り組みが進んでいます。その中で、当社が実際にシステムを担っている鉄道事業は、ヨーロッパのほかグローバルにビジネスが広がっています。当社のデジタルシステム&サービス、グループ会社のGlobalLogic、そしてNVIDIAをはじめとするパートナーとも連携しながら、新しい保守の形を模索しています。
日本人メンバーもヨーロッパ現地に赴いています。彼らの専門知識を取り入れたり、反対に海外拠点のノウハウを日本拠点に輸入したりと、グローバルで動いているのが現状です。こうしたお互いの行き来があるとおもしろいのではないかと。
ただ、中国拠点だけは切り分けています。やはりAIを含めてさまざまな規制もあります。地域戦略として中国のヒューマノイド企業であるUBテックと組み、工場の中でロボットを動かす検証を行っています。
森:そう考えると、ポートフォリオマネジメントも求められていくわけですね。
吉田:そうですね。当社はAIモデルそのものを開発しているわけではありませんが、「AIの使い手」と「AIの支え手」になろうと考えています。使い手という意味では、鉄道や電力、製造業の世界で徹底的にAIを活用して当社内も変革しますし、クライアントにソリューションとしても提供していきます。
そうすると、電力が大量に消費されますよね。そこで、たとえば当社の変圧器やデータセンターを提供することが可能です。これが支え手としての役割です。ソリューションとして提供するときは、アセットを用途に応じて組み合わせられます。
森:熟練者のノウハウ活用からグローバルの経営体制まで、これまで地道に取り組んできた基盤があるからこそですね。
NEXT TOPICS……
- 「FDE」という言葉が混乱を招いている──日立の展開は
- 急速に高まるAIとセキュリティへの危機感
- 技術の進化と現場のギャップを埋めるFDE チーム体制が肝に
