「情シス」の役割を捉え直す。日本企業に合った変革ステップとは
絹村:AIネイティブな組織に変えていくにあたって、よく上がるのがバックオフィスのコスト削減やオペレーション効率化の話題です。重要なのはそこではなく、レベニューオペレーション(RevOps)自体をまず変えるところから取り組む。これは非常にユニークな考え方です。
外山:たとえば米国で基幹システムを管理している部門は、収益性への意識が高く、企業にどう貢献できるかを起点に動く。同様のアプローチが取れると、その結果として自然にコスト最適化がかなうと思っています。
持続的に成長していくために、日本企業も情報システム部門をプロフィットセンターとして位置づけ、収益性を組織全体で意識していく必要があるでしょう。これは当社自身にとっても重要なテーマです。収益が上がるということは、それだけお客様の課題解決ができていることと等しいのです。
絹村:では、具体的にオペレーションをどのように変化させたのですか。
外山:我々はまだAI変革をやり切ったわけではありません。今まさに進めているところですが、既存の仕組みのままではうまくいかないことのほうが多いです。そのため、既存の仕組みを変えるというよりは、新しい取り組みを行う「特区」を作ってAIマネジメントを行う形をとっています。
具体的には、ビズリーチの中でも従業員が40名くらいの「福岡オフィス」にターゲットを絞りました。DXメンバーも福岡オフィスに常駐して、一緒に取り組んできました。すでに業務システムやマネジメントのやり方を大きく刷新しています。
これが2,000人規模の組織で一度にできるのかと聞かれれば、私自身の答えは「ノー」です。そこまでの規模で既存プロセスを一気に刷新するのは難しいと思います。
絹村:領域を絞って小さくてもどんどん試してみる。それがうまくいけば広げていくということですね。
外山:はい。米国では大規模なリストラが起こっていますが、日本企業は従業員への愛情を相当もっていると思います。だからこそ、安全に変革できる場所を用意するというのは、日本企業に合ったやり方でしょう。
絹村:AIエージェントのようにまだ発展途上の技術やシステムについて、既存システム・製品との使い分けや投資をどう判断されているのですか。最後に教えてください。
外山:正直なところ、従業員が使うようなUI/UXは自社の業務や文化に合わせて設計できる可能性が広がってきていると感じています。一方で、その裏にあるデータに近い領域は、SaaSを使うか自社で用意するかが議論される部分。我々は、リスクを負いたくない領域にはSaaSを導入する方針です。たとえ内製できるものであっても、ミスが許されないものや商習慣や法律などが関係するものをすべて自前で用意するのはハードルが高いといえます。
もう1つ大きいポイントが「答えがない領域」です。たとえば、営業担当がどのような商談やメールのやり取りをしていて、どのパターンが売上につながりやすいのかなどは、専門企業のプロダクトやサービスを活用したほうがうまく価値に還元する仕組みを作れるはず。つまり、特定のドメイン知識がどれだけあるかに対して投資をしていく考えです。
