全員参加で「本気のDX」 現状維持から半歩でも先へ
博報堂DYホールディングス CAIO 森正弥氏(以下、森):6月に発表された第8次連結中期経営計画によると、AI・デジタル領域も含めて成長投資額を大幅に増やされました。チャレンジングかつ野心的な目標ですね。
コスモエネルギーホールディングス CDO ルゾンカ典子氏(以下、ルゾンカ):社長(山田茂氏)の熱い想いが反映されています。
この3年ほど、私が理想像を掲げて取り組んできたことは基盤作りでした。その上で、「これからの時代、AIを使いこなさなければだめだ」と社長自らが旗を振り、AI変革を進めようとしています。今まで注力してきたDXを活かし、AIを使い倒す企業体質へと全員で変わっていく意思表明です。
昨今、人口減少などを背景に、ガソリンの消費量は年間約2%ずつ下がっています。では、当社における次の一手とは何か。エネルギー企業として、それを考える転換点に立っているのです。しかし、国内石油製品の安定供給のために、安全かつ安定的に操業することを使命とするビジネスにおいて、変革のハードルは決して低くはありません。新しいことを始めるとき、どうしても不安や心配が生まれてしまう。だからこそ、社員の皆さんが半歩でも踏み出してチャレンジできる環境を作ろうとしています。
森:経営のトップがDX、AX(AIトランスフォーメーション)にコミットされている。ルゾンカさんがコスモエネルギーホールディングスに入社したきっかけも、そのような姿勢に共感した部分があったのでしょうか。
ルゾンカ:そうです。私が面接を受けた当時、現会長がDXにおいて重視していた考え方が「全員参加型」という点でした。「本気のDX」とおっしゃっていたのです。その姿勢と私が今まで磨いてきたデータ活用のスキルが合致しました。
森:まさに、ご自身の経験やスキルが活かせる領域ですね。金融業界をはじめ、データを軸にキャリアを積み上げてこられました。
ルゾンカ:はい。データにこだわりをもつようになった最初のきっかけは、大学時代に米国に留学して心理学を突き詰めたこと。心理学といってもカウンセリングではなく、人の性格などの違いを数字で明確にするサイコメトリクス(心理計量学)です。
そのスキルを強みに、米国では自動車保険会社に就職してアクチュアリー業務にデータアナリストとして従事し、商社のマーケティングも経験しました。留学から2年で日本に帰ってくるといっていたにもかかわらず、気がつけば13年も経っていましたね(笑)。そして2006年に帰国後も、金融業界で顧客分析、商品や為替のデータ分析に携わりました。
これまでのキャリアのどこを切り取っても、データ分析をしているのです。
森:それが今のCDOとしてのアプローチにもつながっているのですね。
